バンコールプロトコルを使って考えてみる-基本編ー

2019年03月30日に作成

3月にFiNANCiE(フィナンシェ)というサービスが開始されました。2年前くらいに人に投資するVALUというのが話題になったのを知っている方もいるかもしれませんが、フィナンシェではそれと似たような感じで人(ヒーロー)に対してカードを発行するシステムという形をとっています。

その中の売買の方式として、バンコールプロトコルという方式が取り入れられていました。バンコールプロトコル自体全然しらなかったのですが、調べてみると面白い性質があったので、いろいろ考えてみたことを書いてみようと思います。

こちらの「バンコールプロトコルについて考える-基本編ー」ではバンコールプロトコルを使って人に投資した場合にどんな風になるかを試してみました。 基本的にフィナンシェとは関係はなく、純粋にプロトコルを適応したらどうなるかを試してみました。

特徴

バンコールプロトコルは個人的に2つ面白い点があると思います。

  • いつでも買ったり売ったりができる

これは準備金をプールしておくことによって、いつでも換金可能になるからです。供給が少ない時に極端に値段がつり上がったり、換金したいときに売れないとかもなくなります。

  • 自己出資からスタートできる(他人から借りる必要がない)

こちらはなんとなく思うところでして、通常お金を借りるには「信用」が必要になるのですが、そもそも最初に信用を得るのは難しいものだと思います。また、そこそこゆたかな時代に生まれて、数か月後に食べるものがないってこともないので、人を雇わずに自分でできる範囲なら特にお金を借りる必要はないのじゃないかと思います。あと、先に「借り」つくって期待を背負うよりかは、何かに貢献した後にその一部が自分に返ってくる形の方が個人的には気楽だと思うのです。

例 

初期条件

ここでは、あるAさんがいて、バンコールプロトコル適用したA法人を設立することを考えます。 Aさんは50万円のお金を出資して、A法人を設立し、100枚のストック(株券みたいなイメージ)を発行します。(100枚はAさんが決めた数とします)

この50万円はA法人の準備金に全部プールされます。ここで、もう一つ先に決めておく必要があるのが固定準備率というもので、時価総額の何割を準備金にプールしておくかという定数になります。この定数に正解はないのですが、今回は0.5、つまり時価総額の50%を準備金に「常に」プールするというルールにしておきます。

今回準備金にプールしたのが50万円なので、時価総額は50万円÷0.5=100万円という形になり、100万円を100枚で割るとストック1枚当たりの価格は1万円になります。

ここで疑問に思うところが、50万円しか出していないのなら、50万円/100枚=0.5万円では?と思うところですが、プロトコル計算上1万円の価格というのは「目安」みたいなものとしておいてください。また、時価総額についてはあまり意味はないので、今後あまり触れません。

ここで覚えておきたいのは図中の式の関係性は「常に」満たされるようになっているというところです。

※画像が小さくて見にくい場合は PDFファイル をみてください。また計算内容の詳細はExcelファイルを置いておきます。

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注意点

今回、ブロックチェーンとかトークンとか使わず、「円」と「ストック(株券みたいなものに)」していますが、その辺のところはあまり中心でないので詳細は考えていません。ただ、「円」側は電子マネーみたいに1円-1ポイントのような価値の変動が少ないものがいいと思います。どちらかというとビットコインのように「貨幣」側に信用を発生させるのはなく、株式や銀行、債券など、「人」や「会社」側に信用を発生させる方向だと思います。

購入⇒購入

さて、Aさんが追加でA法人のストックを10枚購入することを考えます。ここでこのプロトコルの特徴として 、この追加10枚のストックは新たに発行されることになっています。また、購入したときに支払った金額10.5万円は準備金にプールされるようになっています。この10.5万円は前の図の「売買金額:E=」式から計算できます。また、価格はさきほど「1枚あたり1万円」が目安としていましたが、それに近く「10枚あたり、10.5万円」=「1枚あたり1.05万円」となっています。

その結果、ストック発行枚数が110枚となり、準備金残高も60.5万円と増え、前の図の関係式が満たすように、価格や時価総額も増えています。

次に発行枚数が110枚の状態でさらに10枚のストックをAさんが購入する場合を考えます。さきほど違うのは10枚に対して支払うお金が11.5万円になり、1枚あたり1.15万円に上がっています。

このように発行枚数が増えるほど、追加で買うストックの価格が上がっているという形になっています。

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売却⇒売却

次にAさんがストック10枚売却し、換金する場合を考えます。 ここでもプロトコルにの式に従って、換金されるお金を計算すると9.5万円となり、「1枚あたり0.95万円」となっています。このお金は準備金から引き出され、発行枚数も10枚減少し、90枚となります。

さらに10枚売却すると、換金されるお金は8.5万円となり、1枚あたり0.85万円に下がっています。

このように売却する枚数が増えるほど、追加で売るときのストック価格は下がっていきます。このまま売却していくと、それに合わせてストック価格が下がっていくので、最後の1枚まで50万円ある準備金がゼロにはなりませんが、ストック価格はゼロに近づいていきます。

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購入⇒売却

10枚購入した後、その10枚をそのまま売った場合はどうなるでしょうか? 100枚⇒110枚の時の金額と110枚⇒100枚の金額は同じになるので、結果元の100枚と同じになり、Aさんは得も損もしません。

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Bさん購入⇒Aさん全売却

ここまでAさんとA法人だけを考えていましたが、それだと自分のお金を入れたり出したりするだけであまり意味はありません。そこで新たにBさんを考えてみます。

Aさんが、50万円出資し、100枚ストックを発行したA法人にたいして、Bさんが10枚購入することを考えます。このときも購入金額10.5万円で、その分準備金が積みあがります。しかし、Aさんは気が変わってAさんの持っているストック100枚を全部売却することにしました。ストック数の大半はAさん占めていたため、Aさんの換金した金額は60万円となり、残った準備金はわずか0.5万円になります。このため、Bさんがこの後残り10枚を換金しても0.5万円にしかならないことになります。

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最初にA法人を設立したAさんが損することはありません。 でも自分が不利なのをわかっていて、BさんがA法人のストックを買う理由もあまりありません。この理由を生み出すのに次の「ー連鎖編ー」を考えてみたいと思います。

参考

バンコールプロトコルの詳しい式が知りたい人は他の人の資料を参考にしてください

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