圏論の勉強をはじめてみて

2022年01月27日に作成
タグ: 深層学習

昨年の11月から圏論について勉強をはじめてみて、約3ヵ月たちました。

最初に読んだ本は

  • 〈現実〉とは何か(西郷 甲矢人 著, 田口 茂 著, 2019)

で直接圏論の本ではないのですが、圏論に関してのなんとなくなイメージができたことと、より興味が湧いてきた感があってよかったです。

その後、

  • 圏論の道案内 ~矢印でえがく数学の世界~ (西郷 甲矢人 著, 能美 十三 著 2019)

をある程度読みながら、しっかりと圏論を勉強したいと思って、

  • みんなの圏論: 演習中心アプローチ(David I. Spivak 著, 川辺 治之 翻訳, 2021)

2か月以上かけてようやく一通り読み終わりました。定義の数式をちゃんと読み解くのはしんどいので、ある程度読み飛ばしましたが、ところどころ分かりやすい練習問題があったりするので、断片的に雰囲気がつかめた部分はあったりします。圏論を使えるレベルはまだまだ先な感じなので、今後少しずつ振り返りながら理解していきたいと思います。

西郷さんの文献を検索していると、

に「誌上討論:圏論的アプローチで意識は理解できるか」という圏論に関する特集があって、その中の

  • 圏論による意識の理解……土谷尚嗣・西郷甲矢人 

に興味を引く米田の補題の説明がありました。

米田の補題から導かれる結論をより一般的な形で書くと「圏におけるある対象の定義は,他の対象との関係性によって,完全に決定される」となる.「ある概念そのものの特徴」と,「その概念が他の概念とどう関係しているか」が本質的に同じだという,世界観の転換だ.

他にも、

に「特集:圏論は認知科学に貢献できるか」 があったりと、認知科学の方でも興味が持たれているようです。

いろいろ圏論を勉強してみて、なんとなく感じているところですが、人の「認識」というのは、もともと固定されたものがあるというより、「射」や「関手」のような流れや関係性でできているような感じがします。目の前の世界は写真のように固定されているように感じていますが、眼球のサッケードなどで、時々刻々と眼球の入力は変化しているわけで、人間は「変化」や「関係性」から同じものと認識できるようになっている気がするのです。なので、そのうち、人工知能においても圏論的を使ってうまく説明と構成できるようになる可能性はあるのじゃないかと勝手に想像しています。

とはいえ、圏論の式を使いこなしてちゃんと説明できるレベルではないので、今後は時間をかけて少しずつ理解を深めていきたいという感じです。