イノベーションは「早めた」人がエラいと思う理由
最初に発明した人がエラいというのは一般的にそんな感じだと思いますが、世界は広く同じ時期に同じようなことを考えている人がいるはずで、別に最初に考えた人がいなくても数週間後に別の人によって発明されていたかもしれないってことはよくある話だと思います。その場合、最初に考えた人はそこまでエラいのかなとか思ったりします。そんなことを考えたときに、その人の偉業をどんな風に考えると個人的に納得がいくかを考えてみた図がこちらです。
ある発明(物でもサービスでも)があったとき、社会でそれが使われる量というのは、最初はゆっくり ⇒ 途中で急に広まって ⇒ 最終的に落ち着くという、いわゆるS字カーブを描くのが一般的じゃないかと思います。ここで、仮にAさんがいない場合に、次に同じ発明をBさんがするまでにΔTの時間がかかる(ΔTを測定することは不可能だと思いますが)とします。そうすると、Aさんがいた場合と、Aさんがいない場合でΔT分だけ曲線がシフトします。すると2つの曲線の間の面積SがAさんの貢献量と考えるのが妥当かなと思うわけです。また、この面積は図の右のようにどれだけ早めたかのΔTと最終的にどれだけ使われたかのQ∞の掛け算になるので、例えば1億人の人が年に100円分使うようなサービスを、Aさんによって1か月「早く」発明された仮定したとき、
Q∞=1億人×100円/年 = 100億円/年 ΔT=1/12年 なので、
Aさんの貢献量 S=Q∞ × ΔT = 8.3億円の価値があるってことになります。
やっぱり最初に発明した人はエラいってことになりますね。
とはいえ、必ずしも最初に発明した人「だけ」がエラいというわけではないと思います。世の中に認知されないままだと利用者が少ないまま低空飛行することだってあるかもしれません。その発明の良さにいち早く気づいて、解説するような記事を作った人や、お金を集めていち早く製品化した経営者であったり、最初に動くプログラムを作成したエンジニアであったり、ユーザーコミュニティを作って普及・改善に貢献したような人も「早めた」人の一人であると思います。
例えばスティーブ・ジョブズがiphoneを作る前からPDAというスマホの原型があったわけですが、その時代にハード・ソフト的な技術を集積させてiphoneを作り、大々的にプロモーションを行ったことは、ジョブズがスマートフォンというイノベーションを「早める」ことに間違いなく貢献したといえるでしょう。
なので、発明した人だけでなく、そのイノベーションを「早める」ことに貢献した人はエラいという感じで個人的には納得しております。
そういったイノベーションを早めるに役立つ世の中の仕組みというのは昔からあるわけで、例えば株式というのはイノベーションを早めるのに役立つ仕組みだと思いますし、ほかには特許などや、最近ではオープンソースもそんな感じかと(ICOとかはまだ未知数という印象)。とはいえ、それぞれ一長一短ある感じで、今の時代により適した新しい「仕組み」があったらな~と思うこの頃です。
※2019年3月27日
http://samacoba.hatenablog.com/
より過去のブログのバックアップとして転記