投資の確率分布を考えてみる6

2009年01月28日に作成
タグ: FC2

6.期間を考える(定率の場合)

前回、定額の投資をした場合を考えた。 期間がn倍になると、正規分布の標準偏差σが√n倍、平均μがn倍になるということだった。 今回は定率の場合を考えてみる。 定率の投資は対数正規分布になる(2回目と3回目)ということだった。 投資の期間をかえることを考えた場合、前の定額の場合と違い、今回は定率(現在持っている額 の内、一定の率で投資し続けること)なので、2年目の投資額は1年目の結果の額をそのまま投資 するのが正しいと思われる。

Xnをn年目は前の年に比べ何倍になったかを表すとし、 Xをn年間で合計何倍になったかを表すとすると、

X = X1 × X2 × X3 ×…× Xn  (a)式 となる。

ここで、X1,X2,X3,…,Xnをそれぞれμ=1.02,σ=0.1の対数正規分布に従う乱数とし、 Xを計算するシュミレーションをしてみた。年数nは1年~10年までそれぞれシミュレーションした。 サンプル数は1000000個。

image       対数正規分布(μ=1.02,σ=0.1) 1~10年のシミュレーション結果

正規分布の場合と違いσはn年後に√n倍にはなっていない。 また、μはn乗となっており、複利効果が出ている。

image

image

対数正規分布(μ=1.02,σ=0.1)の自然対数 1~10年のシミュレーション結果

image

対数正規分布の平均μと標準偏差σがn年後にどうなるかを式で考えてみる。

前々回出てきた①~④式の内、①、②式ににμe→n×μe、σe→√n×σeを代入すればいい。

image

対数正規分布の平均μはn年後にn乗になることが式でもでてきた。 標準偏差σはちょっと複雑になってしまった。

これをまとめると下のようなイメージになる。

image

今回の結論は、対数正規分布は期間がn倍になると、 eの肩に乗っかっている正規分布のμeがn倍、σeが√n倍になるということである。

※2019年3月27日
http://nukoriki.blog95.fc2.com/ より過去のブログのバックアップとして転記