外債プレミアムはあるか

2008年07月27日に作成
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外国の国債の利回りをみると日本より高い場合がほとんどだ。 下に示したのは最近の国債の入札での利回りで、 日本は他の国と比べると利回りが低い。

10年(9年くらいのも含む)物の国債利回り(2008年発行時)
日本  7月 1.704%
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/1c010.htm
イギリス 5月 4.912%
http://www.dmo.gov.uk/index.aspx?page=Gilts/Operations_Results
米国  6月 4.225%
http://www.treasurydirect.gov/RI/OFNtebnd
フランス 7月 4.85%
http://www.aft.gouv.fr/

だから、普通は単純に国債よりも外債に投資したほうが リターンが大きいと思ってしまう。 しかし、外債に投資すると為替の変動があるので、 投資中に円高になってしまうと利回りが小さくなる。 なので普通の国債では単純に利回りだけだと比較ができない。

では、為替はどのように決まってくるかちょっと考えてみた。 ここで、100mほどの距離にA国とB国があった場合を想定してみる。 A国が円、B町がドルの通貨を使っており、 世界で売っているものはテレビのみだとする。

はじめ、テレビがA国で10000円、B国で100ドルだったとする。 このとき為替レートは1ドル=100円となるはずである。

もし、1ドル=110円だとB国の人は90.9ドルを10000円に換えて A国でテレビを買おうとするだろう。 しかし、A国の人は10000円を90.9ドルに換えてもB国でテレビを買えないので、 だれも、円→ドルに変換しようしないだろう。 結局、為替レートは1ドル=100円でしか取引は成り立たないことになる。

もし、B国のみインフレが起きて、テレビが105ドルになったとする。 こうなると為替レートは1ドル=95.2円と円高になるはずである。

このように為替は長期的には物価に連動すると考えることができる。 もちろん、他の要因もたくさんあり得るとは思う。

次に、リターンを比べるために物価連動国債というものに注目してみる。 これは国によって少しちがうが、基本的には元本が物価に連動して、 その元本に対して一定の利率で利息がつくようになっている。 もし、為替が物価に連動するならば、投資先の国のみ インフレが起こると投資先の物価連動国債の元本の増加するが、 同時に円高が起こり、円換算の元本は変わらない。 したがって、物価連動国債の利率によって、 どの国のリターンが大きいか大まかには比較できるはずである。

下に示したのは最近の物価連動国債の入札での利回りである。 (利率と利回りは違うが、利率と考えてもそれほど問題はないと思う。)

10年(9年くらいのも含む)物の物価連動国債利回り(2008年発行時)
日本  6月 1.400%
イギリス 4月 1.196%
米国  7月 1.485%
フランス 7月 2.2%

普通の国債とは違い、物価連動国債では日本の利回りが他国と比べて極端に低くはない。 なので、外国債券に投資すれば極端にリターンが大きいわけはなさそうである。

※2019年3月27日
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より過去のブログのバックアップとして転記